夏の子供の意外性
05/08/02

 北海道などの、一部地域を除いてはやってきたであろう夏休み。そんな夏休みにラジオを聴いていると、必ずやっている番組が「子供電話相談」相談と言っても「いじめに困っています」といった心の相談ではないし、「財産相続の件で親族ともめております」といったおおよそ子供離れしているものではない。一応、科学や社会など、テーマは絞ってあるのだ。

 こうして、テーマが違った質問だったり、いたずらだったりすると、スタジオの回答者には引き継がれる事なく突っぱねられるのだ。但し、内容が番組の趣旨と合っていなくても、それが突っぱねられる事ができないくらいマニアックだったり、子供らしい質問だった場合は、出演が許可される場合がある。

 この番組の中で前者の例を挙げるとするならば「特定の植物が『春芽』を出すのはなぜか」と言う質問である。ちなみに質問者は小学1年生である。今では「春芽」と言う言葉すら知らない大人も多いのではないだろうか。この質問に対して、回答者は大いに感心して回答していた。

 また、後者の例を挙げるなら「四つ葉のクローバーを見つけると幸せになるのはなぜか」と言うものだ。質問者はまた小学1年生である。質問のレベルは天と地の差だが、こちらも微笑ましい。回答者は「見つけるとうれしい気持ちになるんだよ」と多少お茶を濁していた。確かに答えにくい質問である。

 こんな感じでたまに奇抜な質問が出てくるのが面白い。私もそのような奇抜なアイデアが普段から浮かべばいいのだが、生憎そのような才能はないらしく、たまに浮かんだと思えば「奇人」と呼ばれる有様である。



過ごし方
05/08/25

 夏は暑い。言うまでもなく暑い。こんな夏を乗り切るには冷房が欠かせないのだが、私はエコ主義なので冷房を使わない。決して部屋にクーラーが無いからではない。

 それはさておき、冷房が無い出先ではどうしよう。と考え、数年前買った扇子を持ち歩くことにした。これが思いの外使いやすい。好きなときにスッと出して、バッと開き、パタパタ扇ぐまでのモーションがとても早いのだ。当然団扇の方が早いに決まっているが、扇子なら場所を取らず持ち歩きに便利なのだ。

 この扇子、私が中学生の時、修学旅行で購入したものだが、スッと出して、バッと開き、パタパタ扇ぐまでのモーションがまだ上手くできず、お蔵入りとなったものである。それを使う分には良いのだが、その絵柄が中坊極まりない。何しろ黒地に銀色で「昇竜」とその絵が描かれているものだから、今の私から見たら全くセンスのないものにしか見えない。



森林爺爺と森林小子
05/09/12

 愛・地球博。そろそろ閉幕しそうなので、記念に行って見ることにした。某県某市から午前6時に出発して、会場に着いたのが9時。近場で良かった。

 というわけで、恒例のお荷物チェック。ゲートの脇の箱に、飲みかけどころか、開けて無いペットボトルまで捨ててある。厳しいのね。しばらく待って私の番が来た。ところが、あの人達はバッグの一番大きいポケットしか確認しない。実はこのとき、持って行ったリュックのサブポケットに六角レンチセットが入っており、言い訳を必死で考えていたんだが、お咎めなし。っていうか、見つかって無い。警備上まずいだろうに…。

 チェックを擦り抜けて、晴れて入場。ただ、人が多過ぎですよあんた。まだ開園して10分少々なのに、人で溢れているでは無いか。

 グローバル・コモン(オレンジ)だけ、インターネットで事前予約ができたので、直行。名物のマンモス氷漬けを並ばずに見ることができた。だが、勝負はここからである。

 当然、人気のパビリオンや外国館も、長蛇の列。物の本によると、いくつかのパビリオンは事前予約ができるらしい。並ぶのがいやなので、予約所へ。

 本日の当日予約は終了致しました。
 はい、スルー。

 こんな感じでスルーしてたら、企業パビリオン内でどこにも入れるはずが無く、いつの間にか、スリランカ館、インド館、リビア館、アゼルバイジャン…

 どこ行ってんだ自分。

 もう、そういうマイナーな場所しか入れないのである。ただ、私はそれなりの雑学とか地理の知識とかがあるので少しは楽しめたし、何より建物の中は涼しい。

 終いには、そんなマイナーな国にまで人が並び始めたので、帰宅することに決心。まぁ、シシカバブとかスリランカカレーとか、おいしい肉まんとか、薔薇シロップのかき氷とか、珍しい物を沢山食べたので、よしとする。

 ところで、何見に来たんだっけ?

 皆さんも、こんなふうな万博の楽しみ方をしてみたい…はずがないよなぁ。これからはもっと人が増えそうなので、これから行くなら、それなりの準備はした方が良いかもしれない。



クローバーサーチング
05/09/30

 世の中には、沢山の迷信というものがある。「四つ葉のクローバーを見つけると幸せになる」と言うものもまた然りである。もしこれが本当だとしたら、私はとっくに金持ちになっているはずだ。

 何が言いたいのかというと、私は四つ葉のクローバー探しが上手いと言うことである。まぁ、そこにクローバーの群れがあったら探さずにいられないだけなのだが。

 そもそも私がこうなったのは、母上による影響が強い。母上もまたクローバーを見つけると探さずにいられないようで、出掛けた先で見つけたが最後、見つけるまで探し続けるのだ。

 とまぁ、ここまでならよくある四つ葉好きなのだが、母上が他の人と違うのはここからである。先程、見つけるまで探し続ける、と書いたが、その間せいぜい一分程である。そう、四つ葉を見つけるのがむちゃくちゃ早いのである。負けじと私も参加するのだが、私が一つ見つけるまでに、母上は二本は見つけるのだ。

 対して私はどうかというと、四つ葉ではなくて、五つ葉とか六つ葉、挙句の果てに七つ葉などというものまで見つけてしまうのである。

 書いていてよく分からなくなってきたが、これだけ四つ葉を集めているのに、幸せであるという訳ではない、ということである。それはあたかも、他人の幸せを奪ってしまった罰であるかのように。



健康な髪は幸せか
05/10/17

 床屋に入ると、店員は快く迎えてくれた。しかし、私はあまり嬉しくなかった。私がこの店でこんなに優遇されているのは、単に私の髪の伸びが早い事によるものだけでは無い。そして私は、これから起こるであろう惨劇に思いを馳せつつ椅子に着いた。

 席に着くと、まず長めのスポーツ刈りにして欲しいという。これにも理由はある。私は他の人より髪が伸びるのが早い。もちろんそれだけでも、この床屋に頻繁に来る常連客と言うことだから優遇されるのだけれども、こと私に関しては、実験台としての意味合いが強いようである。髪の伸びが早いだけでなく、毛が硬いので、よく新人の練習代に使われるのだ。あまりここへ来るのは気が進まなかったが、外にまともな店も無く、自分で切るわけにも行かないので、ここに来るしか無かったのである。

 今日も例外なく、前に来たときには見なかった見習いが私についた。その時にその見習いが鏡の脇に何かを置いた。その時点で私は眼鏡を外していたので、はっきりと見えなかったが、何であるか察しはついた。それとともに私はそれを見なかったことにした。それにしても、ハサミ入れが下手である。それに、髪形を左右対称に調整するのに手間取って、左側を切り、右側を切り、いつの間にか髪が短くなっている。長めにしておくよう頼んでおいて正解だった。

 私の髪の毛がすっかり短くなった後、彼は剃刀を持ち出した。当然私の顔を剃るためだが、何しろ新人である。何が起こるか分からない。椅子が倒される時に、さっき無視しようとしたものが目の端に移ったが、私はそれを必死で思考から追い出した。そんなことを考えている間に、剃刀が私の顔に当たる。もう顔を動かせない。息だって下手につけない。もし少しでも顔をずらしてしまえば、私はどうなるか分からない。新人は顔を慎重に剃り続ける。私の神経も恐怖で擦り減っていく。

 やがて、彼は剃刀を置き、私の髪の毛を洗い、店長が仕上げを済ませ、私は料金を払った。その時に百円負けてくれたが、私の味わった恐怖に比べれば、大したことは無い。結果として実害は無く、取り越し苦労とか心配し過ぎだという考えもあるだろうが、だったら鏡の傍らに置かれたメンソレータムの容器は何だったんだろう。



マッド・サイエンティスト
05/11/04

 毒物混入なんて、和歌山のカレー以来じゃないかと思うのだが、こういう事件があるたびに、その使われた毒物というものは有名になるのである。前述の砒素もそうだし、今回のタリウムだって、「タリウムってなぁに?」って言う人は多いだろう。私は、理系の人間で化学も得意なので少々の知識はあるが、その知識がなければ、今回の事件がどれだけ酷いものかは分からないであろう。

 原子番号81 Tl タリウム 原子量 204.383 比重 11.85 融点 303.5℃

 金属元素の一つで、色は銀白色、鉛よりもっと軟らかい。ちなみにバリウムのようにX線をさえぎる。重金属類の中では一番毒性が強い。そんな物だから、殺鼠剤や殺蟻剤とかに使われるわけである。今回の事件では「実験用」として買ったらしいので、おそらく単体だろう。だったら、素手で触るだけで皮膚から体内に吸収され、体に異常をきたす。

 症状は、はじめは吐き気、嘔吐、食欲不振、口内乾燥感、口内糜爛、口内炎、歯肉炎、鼻漏、結膜炎、顔面腫脹、下痢、腹痛、不眠症、難聴、視野暗転、手足の刺痛、疼痛。さらに進むと重い口内炎、筋肉麻痺、終いには爪の萎縮、神経及び 精神障害、譫妄、痙攣、昏睡、窒息死が起こる。あと特徴的な症状として脱毛があるので、気をつけて(何に

 で、致死量を調べると、なんと1g。そこまで行かなくても、体重1kgあたり3mgで危険であるらしい。犯人の高校生は、そんなことまで知っててグラム単位で薬量を調整していただろうことが分かる。そんなわけで、幸い母親は命を取り留めたので、病院では治療作業が行われているだろう。ちなみに治療法は胃洗浄、下剤、プルシアンブルーなどで、タリウムをなるべく早く排出し、活性炭などで無毒化する。

 まぁ、こんなことを知ってても大して自慢にもならないし、何しろ話題の毒物なので「何でそんなこと知ってるんだ」って変な顔をされるだけだろう。科学者なんて、いつも異端者なのだ。



真の情報技術とは
05/11/18

 小学4年生の妹が、友達がブログを作ったとか言ってて、それを見たがっていた。しかし、彼女は検索というものを知らない。で、私にそのブログの見方を尋ねてきたのだ。家族でなかったら、「ググれ」の一言でいいのだが、そう邪険に扱うと後が怖い。そこで私が「ブログのタイトルは?」と聞くと、「知らない」という。「じゃあ、URLは?」と聞くと「それも知らない」という。

どうやって探せと。

 どうしようもないので、後日友人に尋ねるということでその場は諦めた。数日後、彼女がメモを持って私のところへ来た。これでやっとブログが検索できる。そう思ってメモを見ると、

http://www.xx-xxx.ne.jp/

ちょっと待て。

 なんと、彼女はドメイン名しかメモしてこなかったようである、そう思って、半ばキレ気味で彼女に尋ねると「友達がそれしか言わなかった」からだという。彼女も彼女なら、友人も友人である。

 ブログによって、個人が容易に文章をアップすることは出来るようになったのはいいが、なんだかなぁ。



北へ
05/12/02

 日本の国土の中で、唯一亜寒帯に属している北海道。ちょうど一月ほど前に、札幌の町のど真ん中で愚かにも長袖Tシャツ一枚でさまよっている男がいた。

 私である。

 本州に住んでいる私がそんな場所にいるのは、修学旅行という機会があったからである。普段遠出することもない私にとって初めての体験が多かった。初めてといっても、語尾にハートがついたりするようなものではない。早い話が、交通手段。そう、飛行機である。
 北海道自体は、電車で行けないこともないが、学生には勉強という本分があるのでそんな悠長なことを言ってはいられない。4日間しかないのだ。そこで飛行機となるわけだが、私は飛行機に乗ったことがない。空を飛ぶものである以上、落ちたらただでは済まない。そんなときに限ってエアポケットや積乱雲に入ったりするもんだから、周りの生徒は騒ぐは、吐いてる人もいるはで大混乱。当の私はたいした事はなかったのだが。

 そんなこんなで新千歳空港。この日は移動がメインなので、寄った場所は一箇所のみであった。その名も「白老ポロトコタン」言ってみればアイヌ民族資料館である。
 さて、ここで知識をひとつ。江戸時代には、アイヌと本土人との交易は始まっていたわけだが、その内容はとても不平等だったらしい。本土の米とアイヌ側の鮭を交換する際に、鮭のカウントに「始め!」と「終わり!」を付けて2本鯖読んだ、という話は有名だろう。もっとも数えてたのは鮭だが。で、アイヌ側も黙ってそれを見ていたわけでなく、対等な交易を要求したり、いろいろやっていたみたいである。
 そんなわけだから、この資料館のアイヌ民族の方も、商売魂爆発で、民族楽器の披露をしたその直後に、その楽器を我々に売るわけである。一種の実演販売だ。私はそれを承知で、まぁいいかと思い買った。ただ、入り口近くの売店で売られているその楽器の値札をもう少ししっかり見ていたら、私はその売店で買っていただろう。

 白老ポロトコタンを出てすぐに日は沈み、我々は洞爺湖畔の宿へ。割り当てられた部屋で悔しさをかみ締めながら楽器を演奏してみた。が、なかなか音が出ない。思い切って力いっぱいやってみると、

 爆発音が聞こえた。

 別に楽器が爆発したわけではないが、最初はそう思ってかなり驚いた。と同時に、バスガイドさんが「洞爺湖畔で花火が見られます」と言っていたことを思い出す。しばらく花火を眺めていたが、冷たい風とともに「所詮自分たちはカモか」とかいろんなことが頭に浮かんできて、虚しくなってきたので、その後すぐに寝た。

 ただ、この経験は、旅行3日目に最もよい形で生かされることになるのを、私は知らなかった。

つづく



寒空の下
05/12/07

 2日目。まだショックを引きずりながら朝食をとった。
 今日の行程のメインは大学訪問。私の高校が進学校のせいだろうか、はたまたどの学校でもそうなのか、何にしてもお勉強熱心なことである。それはいいとして、この大学訪問、なぜか理系大学志望者のみ。私は理系なので強制参加。その間、文系の人は釣りとかラフティングとかで遊ぶらしい。まったく羨ましい話だ。文系の友人に散々イヤミを言った後に、我々は大学へ向かった。
 午前中は大学の模擬授業で全て潰れてしまった。だが、コンピュータのインターフェイスに関する興味深い話を聞けたので良かった。ちなみに内容は特許絡みなのでちょっとここでは書けない。午後からは我々も観光である。学食で昼食を済ませると、次の目的地「チキウ岬」に向かった。
 チキウ岬。噴火湾と太平洋が望める場所。そんなことはどうでもいい。我々の目的はその優美な景観ではなく、名物「毒まんじゅう」であった。ここへの道中で、バスガイドさんが毒まんじゅうのことを言ってしまったがために我々クラス全体が熱狂し、購入した。
 毒まんじゅう。見かけは6個で1箱の饅頭だが、そのうち1個に唐辛子が入っているという、まさに饅頭版ロシアンルーレット。私も6人パーティを組み、購入した。すると、

「おう、兄ちゃん。ちょっとバスガイドさんに持っていってや。」(翻訳済み)

そして手渡される「毒まんじゅう」。そうか、バスガイドさんがあの時「毒まんじゅう」と漏らしたのはこのためだったのか。我々はまんまとさりげない宣伝に踊らされたようだ。

 バス内で呻き声が聞こえる。我々より先に饅頭を口に入れた彼らの呻きだろう。だが、我々もそれを買った以上、ここでやめるわけにはいかない。第一、割り勘したお金も勿体無い。無作為に選んだ一つの饅頭。「せーの」と言う声。飲み物が底をついていることに気づく私…!!

 どうやら悪運だけは強いようだ。飲み込みにくいと思いながらも、饅頭完食。あたりを引いたのは、多分その場でうずくまって「カプサイシンカプサイシン」と繰り返している彼だろう。
 そんなこんなで「地獄谷」、硫黄の腐乱臭が強い中で、谷底に位置するお社らしき場所を目指すものだから、致死性のガスに巻かれる始末。結果、私は調子が悪くなってしまい、その日最後の観光地である「支笏湖」の景観も、夕食のジンギスカン食べ放題もあまり楽しめず、札幌市内のホテルの一室で失意のうちに眠りについた。

つづく



同業者の戒め
05/12/18

 3日目は自由行動。となれば遊びと買い物だ、といわんばかりに朝からハッスルし、札幌の町に飛び出した我々なのだが、ここにも土産屋の魔の手が迫る。

 さて、札幌市内の某市場。そう、北海道の海産物を買いに来たのだ。この時期の市場は、観光客をゲットしようとして四苦八苦。いちいち時間を食ってはいけないので、買い物はなるべく速く済ませようと、我々は考えた。

 まず、入り口近くの店はスルー。ボッタクリの可能性が高いし、他の店を見てからでも良い。第一道路に面しているやら日が当たるわで、鮮度も疑わしい。しばらく見て回っていると、いいカニがあった。ここまで来るだけでも、多くの店に呼び止められ、うんざりしていた私は、ここで購入することに決めた。

 さて、次は値段交渉。ここでワンポイントアドバイスだが、値札の値段は2段階下げられるということだ。買おうという素振りを見せたところで、店員はすかさず

「兄ちゃん、これ13000円だけど10000円で良いや。」

こう言って値段を下げるが、そこで即決してはいけない。この場合の3000円は明らかにマージンである。初めに高い値段を提示して、下げることで安く見せるという、観光客から金を巻き上げるテクニックである。私の地元が港町で、同じような手口で観光者から金を巻き上げているのだ。そこで、嘘でもいいから

「ところで、○○←(港町)に送りたいんだけど、送料いくら?」

と言ってみよう。きっともう一段階下げてくれるはずだ。自宅が港町じゃなくても、実家の住所だと思ってくれるだろう。私はこの方法で13000円のカニを送料込み、ホッケの干物をつけて8500円で売ってくれた。味も良かったし、大きさもあったのでかなり得したと言えるだろう。

 まぁ、重要なのは、向こうの言い値を鵜呑みにしないことである。と、1日目早々にだまされた私が言う資格はないだろうが、今日のための授業料だと思えば、安いものだ。

 さて、買い物ばかりの一日はあっという間に終わり、生物(なまもの)はさっさと自宅に送って、そうでない土産物は、バッグに入れて帰ることにした。こうして、充実した気持ちのうちに眠りについた。

 最終日である明日の朝、私は大変なことを忘れていたことを思い出す。

つづく



Mission:R○YCE'
05/12/26

 家に帰って、お土産のアレ食べて、これ食べて……ヤベッ、生チョコ買ってない。

 そう気づいたのが最終日の朝。母上から念を押されていた、「ロ○ズの生チョコ」を入手していない。これは由々しき事態である。もちろん、あと半日あるのでチョコ自体の購入は可能。だが、問題は輸送である。生物(なまもの)などの要冷蔵のものはすでに送ってあるし、その他の物は全て旅行用のバッグに詰めてある。チョコをカバンにそのまま入れて運ぶわけには行かない。あっという間に溶ける。

 最終ミッション:チョコを購入。溶かさずに、五時間の帰り道を行け。

 この日、訪問したのは2箇所。北海道開拓の村と、羊が丘展望台。なるべく最後の地点で購入しようと決めていたので、羊が丘展望台でチョコを購入。ちなみに、北海道だから乳製品の質がいいのではと思い、ホワイトのみを購入した。保冷剤をつめられるだけつめてもらい、断熱材をバッグの内側に敷き詰め、万全の状態でチョコを輸送。

 1時間経過:空港の搭乗手続きが遅い。何やってんだJ○L。
   ↓飛行機
 2時間経過:飛行機から降り、バスでバイパスへ、かなり渋滞している。
   ↓バイパスから高速道路へ
 3時間経過:温度が上がってきたので、SAで氷を購入。
   ↓高速道路をひたすら
 4時間経過:寝てる奴もいる。幸せな奴だ。
   ↓高速道路から降り、学校へ
 5時間経過:バスから降りると共に携帯で母上を呼ぶ。「母上!チョコが!チョコが!」

 こうして、必死の思いでチョコを輸送したにもかかわらず、この後母上に
「何でホワイトチョコしか買ってこないの、ビターが良かったのに」
と責められ、一週間後に通販で購入したビターチョコが自宅に届くことになることなど、このときの私は知らない。

 「子の心、親知らず」とは、よく言ったものだ。

終わり



玄関と帽子とわたし
06/02/02

 一人暮しを始めて半年程、自宅に来るセールスマン、特に夕食の準備中に来るのに悩まされていた彼女は、ある日伯母からアドバイスを受けた。
「玄関に帽子を置いといて、それをかぶりながら『今外出するところです。』とでも言えばいいのよ。」

 これはよい事を聞いたと思った彼女は、早速玄関に帽子を置き、セールスマンが来た時にこう言った。
「ごめんなさい、今から外出するもので…」
「えっ? 手ぶらでですか?」

 次の日、セールスマンが来た時に、帽子を被ってバッグを持ち、こう言った。
「ごめんなさい、今から外出するもので…」
「えっ? エプロンのままでですか?」

 さらに次の日、セールスマンが来た時に、帽子を被ってバッグを持ち、コートをはおり、こう言った。
「ごめんなさい、今から外出するもので…」
「いいんですか? ガスレンジ点いたままで?」

 もうやられまいと、その次の日、セールスマンが来た時には、火を消し、こう言った。
「ごめんなさい、今から外出するもので…」
「良い香りですね、今日のお夕食は魚の煮付けですか」
「ええ、今作っておりますのよ…あっ。」
「それでは、商品の説明に移らせていただきますと…」

 実生活なんて、寓話のようにうまくいくことの方が少ないのである。



一通
06/02/23

 世の中は、株だどこでもドアだドラえもんだと何かと五月蝿いものである。
 民主党は、堀江メールなるものを出して、堀江や擁護していた政治家を叩いていたが、メールにおかしな点が多すぎる。

  X-Sender: ____________
  X-Mailer: ____________________
  Date: Fri, 26 Aug 2005 15:21:35 +0900
  To: __________
  From: ________________
  Subject: 至急

  ____


   シークレット、至急扱いで処理して欲しいんだけど、おそくても31日
   できれば、29日朝までに_さん宛に3000万円を振り込むよう手配して
   ください(前回、振り込んだ口座と同じでOK)。

   項目は、選挙コンサルティング費で処理してね。

   _________、宮内の指示を仰いで。__には、こちらからも伝えて
   おくので心配しないで。


  _堀江

メールヘッダが少なすぎるんじゃボケェェェェ!!
以下は、私個人の私用でメールしたときのメールヘッダです。

X-Apparently-To: 宛先:ホストサーバー:時間など
Authentication-Results: メールサーバ名
X-Originating-IP: 送信者IP
Return-Path: 返信先アドレス
Received: 経由サーバ名
Message-ID: メッセージ識別ID(偽造困難)
X-Originating-Email: 送信者アドレス
X-Sender: 送信者
In-Reply-To: 返信元のメッセージ識別ID(偽造困難)
To: 宛先
Bcc: 宛先
Subject: 題名
Date: 日時
Mime-Version: MIMEバージョン
Content-Type: 文書タイプ、文字コード指定

 皆さん、何気なくメールを送ってるって言ったって、その一通にこれだけの情報があるわけです。実は、Message-IDとReceivedというヘッダがあれば、そのメールがどのサーバーからどういう経路で届いたかが分かります。八月末というと、堀江さんは広島ですから、民主党はこのヘッダなしに、メールが広島からの物であることを証明しなくてはなりません。どうすんだろ。

 っと思ったら、民主党は証明を断念したそうです。そりゃそうだ、大事なヘッダ示さないで、大事な部分に黒塗った文書なら誰だって作れる。

 メール公開、始たようです。
 http://www.dpj.or.jp/news/200602/20060217_15noda.html



4月は虚構の月
06/03/34

「おう、kzじゃないか」
 そう声をかけて来たのは、私の古い友人。24時間耐久チャットの為に必要物資を買いに出かけた私はその声に振り向いた。
「よう、元気してる?」
 4、5年顔を合わせていないこともあってか、会話に花が咲いた。近くの喫茶店に入って、実に三時間も話し込んだ。定期テストがどうの、部活がどうだのと、他愛もない話ばかりだったが、そんなのどうでも良かった。

彼と目を合わせた瞬間に、私の目的は決まっていた。

「…ところでさぁ、今日って3月32日じゃん? これから年度末のパーティーやるんだけど行かない?」
  ほぅ、チャットもいいけどそれもいいな…って言うかさらっと嘘つくなよ。その余りの自然さに動揺しかけたが、それでは私のあってないようなプライドが崩れ去ってしまう。なので、負けじと返す。

さて、ここで考えてみる。

(1)「へぇ、ところで窓の外でビルが燃えてるね。」
  …動揺しすぎなのが丸分かりである。
(2)「ああ、俺これから授賞式なんだ、悪いな」
  …馬鹿だと思われるので却下。大体何の賞だよ。
(3)「君のような暇人とは違うのだよ、君とは。」
  …人格疑われるのも却下。これから24時間無駄にする奴が何を言うか。

と、言うわけで。
(4)「へぇ、年度の変わり目といえばエイプリルフールだけど、アレ嘘言っていいの午前中だけだって。」
 この嘘、大抵の人が引っかかるのでお勧め。
「え、マジ?」
 …そのセリフを待っていました。

 そんなシュールな年度始めの夕方に、いつまでも3月でありたいと思ってしまった私ガイル。



きょうびの悪徳屋さん
06/04/27

 悪徳商法という物は何処にでも存在するし、最近では高校生が狙われている。キャッチセールス、ネガティブオプション、エトセトラエトセトラ…
 そんなものだから、今時の高校生は授業で悪徳商法について勉強する。全く、世も末である。
 私の学校も例外ではなく、悪徳商法の手口をまとめたプリントを配られ、授業が始まった。始めは真面目に授業を受けていた私だったが、プリントの中のある誤植文を見た瞬間、それどころではなくなった。

「公共機関から来たふりをして、消化器などを高額で売り付ける」

 その瞬間から、私の頭の中では
「ねえ奥さん、今ならアフリカの方から50万で大腸が輸入出来ますぜ」
「今密輸船が着いたところなんで、すぐに手術出来ますよ」
などという文句が飛び交い、笑いをこらえながら授業終了を待ち続けた。

 悪徳商法やってる皆さん、気を付けて下さい。公共機関は臓器売買はしませんよ。



灯台モトクロス
06/05/21

 PCの電源が入らない。困った。電源ボタンを押しても起動してくれないのだ。何故この文章が存在しているのかは後述しよう。
 自分のPCが動かないことは、持ち主に少なからぬダメージをもたらす。特に、仕事で使っていたりすると、ダメージは大きい。そうでなくても、インターネットができないとか、写真をプリントできないとか、秘蔵の動画が見られないとかで、軽いパニックに陥る人も少なくないだろう。
 そんな状況になってしまったので、まずはPCを分解して、電源系統をチェックした。埃が多少乗ってはいたが、故障するほどではない。念のため、掃除をしてから組み直してスイッチを押した。うんともすんとも言わな

 まさか、電源コードが刺さっていないのでは、と思い確認した。しっかりとOAタップに刺さっていた。当然である。そんな初歩的なミスを犯すはずがない。


 ただ、OAタップはどこにも刺さっていなかった。



南院の競射
06/06/21

 高校生活も3年目となると、のんびりしてもいられない。

テストテストと続いたと思えば全国模試と、息をつかせぬ猛攻である。受験が戦争のようであるという表現を最初に使った人の気持ちがよくわかる。

 そんな関係で、先日模試があったのだが、試験結果で合格判定を出すために、事前調査票に志望校を書かなくてはならない。私も考えがない訳ではないので、8つまで指定できる志望校の欄のうち、5つ目までは書けた。が、残りの3つはどうしても埋まらない。あまりに困ってしまったので、無作為抽出することにした。

 志望校の指定方法は、「大学コード表」という小冊子に記されている、学部、学科に割り振られたコードを用紙に書き込むと言う方法だったので、この冊子を分解し、ページごと並べて、ダーツの代わりにペンなどを投げて決定することにした。無謀にも私は、当たったら絶対書くと広言して、友人たちの前でやって見せた。

 東大とか当たったらどうしよう、とか心配したが、その必要はなかった。

東京女子大 現代文化学部 コミュニケーション学科A
フェリス女大 文学部 コミュニケーション学科
日本体育大女子短大部 幼児教育学科

受験資格がない。

 それどころかこんなものを書いてしまったら教師はおろか同級生からもひんしゅくを買ってしまう。よしんば通ったとしても、判定は出ないだろう。  ネタに生きる人間としては、ここで引く訳には行かないのだろうが、まともな人生あってのネタ人である。人生と引き換えにしてもほしいネタなどない。

 結局、まじめに考えて結論を出した。あまりおふざけが過ぎるのはよろしくない。と身も蓋も無いオチも無い結果になってしまった。



究極のオタクとは
06/07/23

 一時期、「電車男」なるものが流行った。コレが火付け役となったのか、オタクは今や日本中でブームである。ただ、全ての人がオタクについて知っているかといえばそんなことはない。世の中にはオタクの行動研究をしている人もいるだろうし、オタクを極めることで、オタクオタクになる人もいるだろう、さらにオタクオタクオタクもいたりして。

まぁ、そんなことはどうでもいい、ただ、コレだけブームになっておきながら、そのオタクというものがあまりにも分かっていない様な気がしてしょうがないのである。

 まず部屋。オタクの部屋というのはぐちゃぐちゃしているなんてことはないと私は思うのだ。むしろ普通の人より片付いているはずである。それは彼らの命の次、いや命ともいえるグッズが汚れたり、傷がつくのを防ぐためであり、部屋が片付いていなければやはり本当のオタクとはいえない。

 付け加えると、番組内のようにおおっぴらにフィギュアなんか置いたりしないし、ポスターだって貼らない。日光で色があせてしまったり、劣化してしまうからだ。第一、人に見られたくない。

 とまぁ、こんな風に書いたが、私の友人の中にツワモノがいる。仮にAとしよう。

 Aの部屋はポスターも貼ってあるし、作業台の上はフィギュアで埋め尽くされている。代わりに、その部屋は昼間でも暗い。そして、電気もつけない。ひとこと「電気つけないと見えないじゃん」といっても、「僕と○○ちゃんの心はつながっているから、暗くても分かり合えるんだよ」と言って、暗闇の中でニンマリとする。正直、○○ちゃんが不憫で仕方がない。そのまま、Aは語り始めたので私はその部屋を出た。以来、Aの家に行っていない。

 人を寄せ付けたくないという意味では、彼は正しかったのかもしれない。



レンジに入れないで
06/09/08

 猫をレンジで加熱したら死んでしまうなどという事は言われなくても分かりそうなことだが、それが分かっていないようなな人間と、注意書きがないことをメーカーの責任にする裁判官がいる国。それがアメリカである。

 もちろん、これは都市伝説の類いであるのだろうが、実際にそういう判決がさまざまな場面において下されているのだから、あながち間違いでもないだろう。

 では、どのような注意書きをすればアメリカの裁判で負けないのだろうか。

 商品1 レンジ
 1:動物を入れて使用してはいけません。
 基本の基本である。そんなことも分からない奴は、電子レンジで髪でも乾かしてろと言いたいところだが、一応記載しておく。

 2:開け放ったままで使用しないでください。
 「ちょっと、空けたまま使ったら偏頭痛がするじゃないの」なんて人がいないとは限らない。頭が痛いのはメーカー側だ。

 3:ビルやマンションの上から落下させないでください
 目的外使用と一言で片付けてしまうと、「目的外使用って何なのよ」と突っ込まれる可能性があります。

 4:道路に放置してはいけません
 あれです。置き石と同じようなものです。道交法で決まってるなんて言う台詞はアメリカでは通用しませんよ。

 5:加熱後の食品は熱いですので、十分注意してください
 「冷凍食品を温めて取り出そうとしたら、指を火傷しましたの。さっきまで凍ってたのに!」なんてことはアメリカではよくあることです。

 多すぎて、これ以上書けません。アメリカって恐ろしい国ですね。最近ネタ切れぎみなので、またこのネタが出るかも知れません。



ボール一杯の
06/12/02

冷蔵庫に黄色いアレがあった。

ガラスの器に、弾力のある黄色い物体。
それは見紛うことなくプリンであった。

 しかし、バニラビーンズのにおいがしない。本当にプリンなのかと疑った。しばらくして、それは無駄であると悟った。
 外国のことわざに、「プディングの味は食べるまで分からない」ということわざがある。日本語で言うと、論より証拠と言ったところだろうか。いまこの物体を目の前にして、これがプリンであるかどうかなど、いくら考えても、いくら激論を交わしても、その答えは目の前にある物体の味によってでしか分からない。

 たとえプリンであったとしても、砂糖ではなく塩が入っていたり、カラメルを焦がしすぎて苦かったりしていれば、もはやそれはプリンと呼ぶに値しない。この物体がプリンであることの証明は、この物体を食べてみて初めてなされるのである。そのときに、この物体がプリンと呼ぶに値するか否かは分かるのである。行動に移さないものに、結論は舞い降りない。



 こうして、私は茶碗蒸しを一気に掻き込んだのである。